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「そうか?
……ま、何かあったら言えよな」
メイは、その心遣いを嬉しく思い、強張った顔に自然と笑みが戻る。
「うん、やっぱりメイには笑顔が似合う」
「た……ったわけ!
そ、そんな事言う前に……あ、味音痴治さんか!」
精一杯の照れ隠しであり、本心。
「んな事脈絡もなく言われても……」
そうそう治る物ではない。
「わしとのキスも……美味しくないと思われとう無い……」
「メイに関しては、味は解るから心配ない」
「ば、ばかもん……そんな……は、恥ずかしいじゃろ……」
真っ赤な顔を手で覆い隠した時、玄関がけたたましい音を立てて開く。
甘ったるい空気を晴らされて、不機嫌そうにメイがそちらを見やると、殊更に不機嫌そうな、昼間の娘……連れにスーと呼ばれた娘が居た。
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