第3話・魔王楽しむ

3/10
188人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
「そうか? ……ま、何かあったら言えよな」  メイは、その心遣いを嬉しく思い、強張った顔に自然と笑みが戻る。 「うん、やっぱりメイには笑顔が似合う」 「た……ったわけ!  そ、そんな事言う前に……あ、味音痴治さんか!」  精一杯の照れ隠しであり、本心。 「んな事脈絡もなく言われても……」  そうそう治る物ではない。 「わしとのキスも……美味しくないと思われとう無い……」 「メイに関しては、味は解るから心配ない」 「ば、ばかもん……そんな……は、恥ずかしいじゃろ……」  真っ赤な顔を手で覆い隠した時、玄関がけたたましい音を立てて開く。  甘ったるい空気を晴らされて、不機嫌そうにメイがそちらを見やると、殊更に不機嫌そうな、昼間の娘……連れにスーと呼ばれた娘が居た。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!