第3話・魔王楽しむ

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「我は大魔道師トリス・メギラオが孫、スリア・メギラオ!  魔王メイリカっ!?」  木製のお玉が、スリアと名乗った少女の額を捉え、小気味よい音を鳴らす。 「痛いじゃない!」  足元に落ちたお玉を拾い、メイに投げ返すも、簡単に受け止められ…… 「済まんな、わざわざ返してもらって」 「~!!」  その言葉の悔しさからか、声にならない声で抗議をする。 「ちゃんとしゃべらんか、ばかものが」 「う……っうるさいっ!」 「……で、知り合いか?」  二人のやりとりの区切りを見、アーチが割り込む。 「知り合いっ!?  バカじゃないのあんだっ!?」  二度目のお玉が額に当たる。 「痛いじゃない!  何で同じ場所に当てんの……よ……」  スリアは、メイより放たれる殺気に似た怒気に気圧され、言葉尻が萎んでしまう。
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