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「ずっと……気になってた……」
漸く少年は声を出す。
「あんたが……世界征服を宣言したあの日から……」
覚束ない足で、フードを取られ、顔を隠したままの魔王に、再び近寄っていく。
「……空に浮かんだ『幻影』……
僅かに見えた口元……」
再び、少年の手が魔王に迫る。
「確信した……あの時に……
……あんたが……あんたが俺の……」
少年は魔王の手を掴み、顔を顕にする。
「……思った通りだ……」
顕にされた魔王の顔……それは、金色に輝く美しく、長い髪。
まだ幼さが見える、それでも整った顔立ち。
少し釣り目がちな、大きな眼。
瞳は澄んだ空を思い起こす青。
「……早い話一目惚れです。
……その……あの……お、俺と――」
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