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――三年後。
都を一望出来る、山の中腹にある小さな村。
豪華とは言えないものの、それでも綺麗な飾り付けがされている。
それもそのはず、今日のこの日はとてもめでたい宴席が設けられているのだ。
「あれから二年……お前が彼女を連れ帰ってから早いものだな……」
しみじみと酒を飲みながらの台詞は、少年の父親。
「ふふ、村のみんな、驚いておったの」
少年に寄り添って少女は微笑む。
「ああ、そりゃ当然だろ?
何つっても、こんな可愛くて綺麗なんだから」
「いや、驚いたのはそこではないと思うのだがの――」
――二年前。
「ただいま」
「……邪魔するの」
村の入り口で、二人がそれぞれ門番に挨拶をする。
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