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村の広場では若い衆が和気あいあいと、何かを作っていた。
「のぅ、あれは何をしとるのかの?」
「ん?
ああ、今の時期なら山鎮祭の準備だな」
「さんちんさい?」
「ま、簡単に言えば『山火の神』の安寧を願うって祭りだな」
「ふむ……『山火の神』と言えば『ヴォルカヌス』か、あやつは落ち着いたじじいじゃからの。
しかし……こんなとこで聞く名前ではないと思っとたんだがの」
少年は、改めて彼女が人ではない事を思い知る。
「何かわしの顔についとるかの?」
「あ、いや……可愛い横顔だなーと」
「な……」
少女は、思わぬ少年の口撃に、顔を真っ赤にしてしまう。
「お……おぬしこそ……」
「あーっ!
兄ちゃんだーっ!」
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