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「……随分、生徒に人気じゃない? 椎名先生」
授業を終え、二人並んで廊下を歩く。
「萩原先生程ではないです。……だから、嫉妬するのやめて下さいね?」
ば……バレてる……。
「学校では敬語なの?」
「当たり前です」
「そ。……まぁあいつら半分キャバクラと間違えてっから。椎名先生もその辺考えた方がいいよ。ちゃんと”先生”として接しないとね?」
我ながら酷い発言だ。
みくは頬を膨らませた。
「私の憧れた先生はそんなオッサンみたいな事言う人じゃありませんでした」
「……四年も経てばオッサンにもなるって」
そう呟いたところで、向かいから女子が数名走ってきて囲まれた。
「あっいっちゃんだ!! おはよー」
「今日の服可愛いー!」
「じゃあ私、頼まれた資料、まとめるので先に……」
軽く会釈をし、去っていくみく。
「ちょ……!!」
「いっちゃんってば実習生にフラれてんの~」
「ウケる~」
「うっせ。早く教室戻れ。授業始まるぞ」
「え? まだ休み時間入ったばっか……っていっちゃん待っ……!!」
教師歴六年。
女子を巻く技術だけは一流になった気がする。
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