先生、拉致される

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親父狩りだな。きっと。 見知らぬ男と顔を突き合わせ、何故だか俺は駅前の居酒屋大手チェーン店に居た。 きっと、この男は俺のストーカーか何かで、みくとの関係に嫉妬して現れたに違いない。で、これから俺の事を取って食うに違いない。 でも、疲れた身体に注がれるビールが最高だからよしとするか。 「すいません、生」 通りかかった姉ちゃんを呼び止め、空のグラスを指差すと、目の前の男は呆れた、といった感じで目を細める。 「先生、ペース早いっすよ」 「お前のおごりだろ?」 男は溜め息を漏らす。 「別にいいっすけど、年上の独身なのにせこいっすね」 「結婚資金貯めてるから」 即答すると、男の顔は明らかに不機嫌そうに変わる。 絵に書いたような爽やか好青年。いかにもフレッシャーズみたいな、真新しいスーツ。歳は二十代前半だろう。 「いいからさ……、そろそろ本題に入れよ」 睨み付けると、男は真っ直ぐ俺を見て答える。 「塚本雄太です。覚えてませんか?」  
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