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「そうしてずっと、僕だけを見ていれば良い。僕だけの事を、考えていれば良い…」
熱に浮かされつつも、兄の言葉は冷静だった。
今の桜には菊の言葉通り、彼が与えてくる激しい熱と痛み以外何も感じる事が出来なくなっていた。
菊は桜の覗いた首元に舌を這わせる。
白い喉笛がとても美味しそうで、かじり付きたくなった。
「にいさま…恐いよ、にいさま…」
痛みと愉悦が綯い交ぜになって意識が霞んできた。桜にはそれが恐ろしかった。兄の背に回した腕に力を込める。
「さくら、僕がずっと側に居るから、大丈夫だよ…」
そう耳で囁いて、妹を自分から逃がさないように言葉の鎖で繋いだ。
菊は妹の華奢な身体に腕を回し、中のものを突き上げた。
「うああっ…!」
最奥まで圧迫されて、桜は悲鳴にも似た声を上げた。瞑った眼からは涙が零れる。
突如として齎された激しい疼痛に、思わず桜は兄の背に回した腕に力を込めて、抱き締めた。兄の腰にも足を絡めて。
今の彼らの身体には隙間は無く、完全に重なり合っていた。
「っく、あ…」
熱く濡れた妹の中に強く締め付けられる。
菊は低い呻き声を上げると、そのまま奥のほうへと自身の欲望に塗れた熱を放った。
最奥に夥しい熱量を注がれたのを感じた桜は、そこで意識を手放した。
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