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菊はそのまま結合部を見下ろした。桜のそこからは赤い血が流れ出ていた。
「やっぱり、初めてだったんだ」
菊は嬉しそうに呟いた。
身体が足の付け根から引き裂かれてしまう…!そう思うほどに激しい痛みが桜を襲った。処女が破瓜の痛みなど知る由もなかった。
「あ…あ…!」
(痛い…!)
あまりの痛みに呻き、桜は身体を強張らせ涙を流した。
「っくう…やっぱり、きついね…」
苦しそうに呻くように菊が言葉を吐く。
十分に慣らしても桜の中は狭く、きつかった。
「ん…」
包まれる濡れそぼったその暖かさと柔らかさ、その締め付け具合に達しそうになるが、どうにか堪えて、緩慢な動きで未開の地を押し開いてゆく。
そして遂に先端が行き止まりに到達した。
「さくら…全部…入った…」
誰の侵入をも許さ無かった妹の中は、とても狭くて温かかった。
一息つくと、菊は桜の唇に軽く口付けをした。
「うぁ…にいさま…痛い、です…」
桜には未だに信じる事が出来なかった。兄と結ばれたなんて。
けれども痛みを伴って体内に埋まった、兄の一部である熱いものの存在が、それが現実である事を知らしめていた。
気を失いそうになりつつも、その熱と痛みに意識を呼び戻された。
「動く…よ…」
そう言って兄はゆっくりと腰を動かした。浅く中を行き来するように。
「あ、あ…きく、にい、さま…」
痛みを堪えるために、再びうわ言のように桜は兄の名を呼んだ。何度も。
思いを遂げる事ができて桜は嬉しかった。けれど同時に悲しくなった。
残酷な現実を、兄に突きつけられて。
「う、あっあ…」
兄が行き来する度に、その熱と痛みに呻いた。
「あ、あっ、あ…!」
気が遠くなる。兄の存在を見失い独りになるのを恐れた桜は、縋るようにその背に腕を回した。
ずっと華奢で、まるで少女のようだと思っていた兄の背は逞しかった。
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