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「はぁはぁ…」
「こんなに息づかい荒くしやがって…そんなに気持ちいいか?」
翔助はそう言って香奈の耳を噛み、胸を撫で回す。
だが、もはや抵抗の言葉すらもない。
翔助は耳を噛むのをやめ、そのまま唇にキスをした。
香奈は拒まなかった。
正確に言えば力が出なくて拒めなかったのだが、結果的には同じこと。
キスをしたのだ。
翔助は数秒間唇をつけて、離した。
だが離した後も、香奈は虚ろな目で翔助を無言で見上げていた。
何かを欲しているかのように。
…おちたな。
翔助は、そう確信した。
「香奈、朝食はもういいだろ?俺の部屋に行くぞ」
香奈はコクリと頷き、椅子から立ち上がった。
だが体に力が入らない為か、立ち上がった瞬間よろけて倒れた。
「…ったく」
翔助はそう言って、無言で倒れている香奈に近づき、香奈を抱き上げた。
俗に言う、お姫様抱っこをした。
香奈が頬を赤らめながら、ボーっと翔助を見つめる。
「おいおい、どうした?俺に惚れたか?」
「…はい」
「ふっふっふ、そうか。俺の事が好きか?」
「…はい、大好きです」
やけに素直に答える香奈。
まるで翔助にベタ惚れしているかのように。
さっきとは、まるで性格が変わっていた。
だが普通に考えて、人間はこんなに直ぐに変わる筈がない。
そう、これには訳があったのだ。
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