プロローグ+長い夜に見た幻夢+

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喉の奥が締め付けられ、胸がつかえるように苦しくて、涙が溢れて止まらない。 以前の私なら心をカラッポにできたのに。 今はできない。 だからこんなにも悲しいんだ。 涙を流しても、どんなに声をあげて泣いても、どうして解放されないの? 汗と涙が冷えてきたせいか、再び激しい悪寒に襲われる。 私は震えながら毛布を首もとまで引き上げて、膝を抱えて胎児ように丸まり、瞼の裏側でフラッシュする幾何学模様に集中した。 また眠りに誘われる。 もう、夢は見たくない。
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