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このままじゃいけないという危機感の反面、どうにかなると楽観的に構える自分がいて、将来の自分なんて少しも想像できない。
何をしたいかなんて分からない。夢なんて別にない。
どうやって見付けたらいいの?
誰も教えてくれない。
何に対して努力すれば良いのか分からないからしない。
何もしたくない。
深刻になりたくない。
ただ流されていたい、今は。
家に帰ろう。
私は気合いを入れ直して、シートのレバーを引き上げ、普段の位置に固定する。
そんな私の視線の正面に「彼ら」を見付けたのだ。
園内の芝生にじかに腰を降ろして、目の前にアルコールの類を広げて、朝から花見?
「見て、あれ」
助手席の璃慧に声を掛けると、彼女はだるそうに体を起こして運転席へ乗り出し、私の指差す先を覗き見た。
「行ってみない?」
そう言い出したのは璃慧。さっきまでは「疲れた」と連呼していたくせに、変わり身も素早く今は俄然、張り切っている。
「マジ?もう帰ろうよ」
とにかく断ってはみたものの、私は彼女の強い押しに圧倒されて同意する。
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