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車を降りた璃慧は、歩道と公園の境界にある垣根を、ひょいと乗り越え、その向こう側で手をひらひらさせて手招く。
私は苦い表情を浮かべて、首を横に降ってそれを拒み、垣根の切れ間にある入口へと遠回りするルートを選んだ。
膝上20センチのミニスカと、ピンヒールで腿丈を跨ぐなんて私には無理だし、璃慧もいくら運動神経が良いからといって、結局は私を待つはめになるのだから、わざわざ獣道を通らなくてもよさそうなものだ。
「おはよう。ねぇ何してるの?」
璃慧は天使のような愛くるしい微笑みで彼らに問いかける。
こんな表情で、ましてや璃慧のような綺麗な子に声を掛けられたら、大抵は邪険になんて扱えないだろう。
だから私は彼女の後ろで一歩引きぎみでいる。
そんな私に「ハルカはcoolだよね」と、璃慧は褒め言葉をくれるけど、実際はそうじゃない。
彼女に対する劣等感が、ときに私を消極的にさせるのだ。
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