がおー

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  矢車は誰にも気づかれないように橋の下から顔を出した。もう、近くに少年たちはいないようだ。ほっと息をつく。 「傷つくのは俺だけでいい」 口ではそう言っていても、心の底では悔しさやら惨めさやらが渦を巻いていた。 「おのれ……」 思わず本音を口にしかける。 バサバサバサ 不意に、汚らしい紙が風に吹かれて飛んできた。矢車の顔に貼りつく。濡れていた。 「こ、これは……」   紙は、地図だった。  
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