嵐の前の静けさ

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嵐の前の静けさ

「佐助、団子を頼む~」 「もう、だれっ放しだねぇ」 縁側に寝そべった旦那が、団子をねだってくる。 はだけた胸と腹には、魔王と戦った時の傷跡がまだ残っていて。 勿論俺様にも傷跡はあるわけだけれども、主君のそれは痛々しくて、申し訳なくて。 「佐助」 「ん?」 「風が心地良い」 「そうだね」 うっとりと目を細める旦那の髪が風に揺れた。 いつまでもこの時が続けばいいと思った。 どんなに願っても風のように無情に過ぎる時間が、どこか恨めしかった。
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