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送り出す者、戦う者
「はっ!」
馬の腹を蹴りながら、広野を駆ける旦那。
ひたすら俺様は、その後を追って走る。
ザザッ
「………?」
突然旦那が馬の手綱を引き、その蹄を止めた。
「乗れ、佐助」
「大丈夫だよ、まだ走れるから……」
むう、と旦那の頬が膨れて、気付いたら強引に担ぎ上げられていた。
「うわ、ちょ、危ないって」
「良いから乗れ、そなたの脚は忍の要だろう」
俺様は忍なのに、総大将の旦那と同じ馬に乗っている。
旦那は、武将と忍、身分の違いなど気にしない寛容な男だった。
時にはその手は民に差し伸べられ、敵将の首をはねた。
「旦那、馬泡ふいてるよ?」
「うおっ!?流石に二人は重かったでござるか?」
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