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奥州に入ると、北国の風の匂いがした。
涼しい風が、汗ばんだ体に心地良い。
「旦那、この辺で少し休もう」
「そうだな…馬も疲れておるしな」
木の下陰に馬を繋ぎ、小川のほとりに座る。
旦那はバシャバシャと顔を洗い、水を飲んだ。
「…あー、飲んじゃった。伊達軍が毒でも流してたらどうすんの」
「政宗殿はそんな卑怯な真似はせん。確かに高慢ではあるが、真っ直ぐな闘志を持った男だ」
ぐい、と濡れた顔を拭き旦那が微笑む。
と、その時。
ガッ!
「うっ……?!」
石が飛んできて、旦那の顔に当たった。
旦那の額から血が一筋流れ落ちる。
「……誰だ!!」
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