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ガキッ
バキィン
あちこちから刃が交わる音が聞こえる。俺様は木の上から旦那の様子見だ。
(……えー、旦那、旦那っと…)
「うぉあああああああああ!」
派手な武田の赤備え。その中でも一際紅い、旦那の姿が見えた。
「や、槍を二本だと……」
「あんな奴、武田に居たか…?」
「真田源二郎幸村、見参んん!!」
赤い鉢巻と、結わえた長い後ろ髪が風に靡く。
はだけた胸板に、鳴るは六文銭。
旦那を囲んでいた5、6人の兵はその姿に圧倒されていた。
「うらあああああああ!」
旦那は大声で吼えると、二槍を豪快に振り回し、上杉の兵を薙ぎ倒して行った。
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