地獄へ

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それは冬の寒い日 いつものようにみんなで夕飯の食卓を囲んでいる時だった。 テーブルの上で湯気をあげるお鍋! 今でも鮮明に覚えている。 長女の美智が、にんじんを取り、口に運んだ。 「これまだ煮えてない」 と言うと、一口かじったにんじんを鍋に戻したのだ。 「汚ねぇガキだな!」 パパが怒鳴った! 私は、耳を疑った。 でも 確かにパパの口から出た言葉だった。 その夜遅くまでパパがママを怒鳴り散らし、家中を引きずり回して暴力を振るうパパの姿に 三人は怯えながら 泣きながら 夜を明かした。 次の日から 私達の食卓はキッチンの奥の暗くて寒い部屋 ママが、私達に食事の支度をする事は許されなかった。 冷蔵庫はいつも空っぽ パパは決まって夕方になると、私達三人のうちの一人に1000円を渡し、ビールとチーズを買いに行かせる。 私達が食べる物は何もない! 炊飯器に僅かに残った御飯を三人で分け、それに水をかけて食べる。 それでも満たれずパパの残したチーズに手を出した。 「昨日のチーズが残ってるだろ!」 また、ママを怒鳴る声! そう! パパはアル中で酒乱! 自営業と言う事もあってか朝からビールだ! 仕事は寝ないでママがしてた。
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