目覚めと出会い

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レインの言う通り、一般的な(生活に必要ない雑学とか、普通の人は知らないようなヤバいことも含む)知識は覚えてる。 忘れてるのは自分のことと、それに関係することだけ。 ――記憶を失う前の僕は一体何者だったんだろう。 そんなことを考えていると、再び階段を駆け上がってくる音が……。 騒がしいなぁ、この家は。 「レイン! 準備できたよ!」 わかりきっていたが、レナだ。 服装はレインと同じ制服。ネクタイはリボンに、ズボンはスカートなっている。 「じゃあ行こうか。ゴメン、クラッド。僕達が帰ってくるまで適当に時間潰してて」 「えぇっ!?」 時間潰しててって……僕は記憶障害だよ?ここは人の家だよ? 「っていうか、ご両親に迷惑なんじゃ……」 「それなら大丈夫。うちに住んでるのは私とレインの2人だけだから」 レナの家だったんだ、ここ。 それに2人だけってことは……同棲!? 僕が驚いていると、レナは笑顔で唇を震わせた。 「お父さんもお母さんも……もういないから……」  
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