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「レイン!」
「わかってるよ。でも、あんな血で制服汚したくないなぁ」
レナの声に対して口ではそう言いつつも、レインは魔物の上空に向かって高く跳躍する。
落下の重力が十分に加わった刃は、剥き出しになった肉に深々と突き刺さった。
そして、バチッという音。
レインの握る柄に、青白い小さな稲妻が駆け抜ける。
「だからこの方法で終わらせるよ」
瞬間、魔物の体が爆ぜるほどの衝撃。
敵の体にバチバチと電流が流れ、わずかに焦げ臭いにおいが辺りに充満した。
「サヨウナラ」
刃を引き抜いた時のレインの瞳は、普段からは想像できないほど冷たかった。
――あれがレイン……?
思わず自分の目を疑う。
一度瞬きをして目を開けると、そこにはもう異常なレインの姿はなかった。
見間違い……か?
「ふぅ。終わった終わった……って、どうしたの、クラッド?難しい顔して。また何か思い出した?」
目の前にいるのはいつものレイン。
「いや、何でもないよ」
やっぱり見間違いか。
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