目覚めと出会い

9/18
前へ
/395ページ
次へ
 ◆ ◆ ◆ ◆ レナとレインが学園に向かってからそれなりの時間が過ぎた。 僕はと言うと、さっきから外の景色を眺めたりベッドに寝転がったりしている。 その間も、頭に浮かぶのは最後のレナの笑顔ばかり。 ――あの笑顔……無理に笑ってたな……。 隣にいたレインもそんなレナを見てツラそうな顔をしてた。 「お父さんもお母さんももういない……か」 彼女の両親に何があったのかは知らないし、他人の僕に知る権利なんてない。 でも、ケガをして倒れていた(らしい)僕を助けてくれた恩人を放っておくこともできない。 彼女を傍で支えるのはレインの役目。なら僕は影で2人を支えよう。 それが、ここを去るまで僕にできる恩返しだ。 よしっ! そうと決まれば……。 「気分転換に外にでも出てみようかな」 誰もいない空間にそう呟くと、床に足をつけて立ち上がる。 どのくらい寝ていたのかわからない身体は重く、フラフラして危ない。 その場で伸びをすると、パキパキッと小気味よい音で骨が鳴る。 バランスがとれてきた僕は、ゆっくりと階段を降りた。  
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43148人が本棚に入れています
本棚に追加