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「先生、魔物を倒せたのは私のおかげだよ? 私がいなかったらクラッド達が“ケガ”をしてたかも」
“ケガ”の部分を強調するところがいやらしい。
その言葉は確実にリディア先生の心にダメージを与える。
結局、先生が選んだ答えは、
「そうね。レナさんは見逃しましょう」
レナの解放だった。
それを見たルミナがすかさず手を上げる。
「先生、あの敵に接近戦は危険でした。2人だったからよかったものの、1人だったら“ケガ”をしていたかもしれません」
再び先生への精神攻撃。
「ルミナリエさんも許します」
もちろん、ルミナも解放された。
残るはクロスだけだ。
「俺様はいるだけで百人……いや、千人力だからな。俺様なしでは勝ちはなかったぜ」
胸を張って語るクロス。
対して先生の反応は、
「そう」
それだけだった。
「そうって、反応薄いな。まぁいいや。んじゃ行こうぜ」
クロスは先生の横を抜けようとするが、その瞬間、肩をガシッと掴まれる。
掴んだ人物はもちろん先生だ。
「何言ってるのかしら? アンタは許してないわよ?」
「……え?」
「ただでさえ授業態度が悪いのに、その上サボり? これは教師として見逃せないわ」
つまり、日頃の行いのせいというわけだ。
「ドンマイ、クロス」
「自業自得だな」
逃げ切れた2人は憐れみの視線をクロスに向ける。
「放課後、補習ね」
「ふ、ふざけんなぁぁぁあああ!」
その後、僕は初めて授業を受けた。
クロスは放課後にしっかり補習。
家に帰ってきたのは8時過ぎ。
その時のクロスの顔は、青ざめた死人のようだった。
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