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左右からの攻撃が届くよりも先に、僕は左肩をルミナにぶつけて突き飛ばす。
あわよくば薙刀を手放してくれれば……と思ってたけど、さすがルミナだ。手は離れなかった。
でも、逃げ道は確保できた。
尻餅をついているルミナを跳び越え、左右の2人から距離をとる。
レインは困ったように苦笑し、クロスは舌打ち、ルミナは悔しそうに僕を睨んできた。
「ちょこまかと逃げ回りやがって……」
イラついた声を発するクロス。
いい具合に機嫌が悪くなってるな。
トドメに、僕はニヤリと笑みを浮かべる。
その時だった。
突如、何かが視界に映り込む。
「っ!」
それの正体に気付いて慌ててその場から離れようとするが、わずかに遅かった。
逃げようとした僕の左腕に巻き付き、グイッと引っ張られる。
体勢を崩した僕は地面に倒れながらそれを睨んだ。
糸だ。レナの糸。
【ウィンドフロウ】を展開中にもかかわらず、まったく緩まない。
いや、そもそも最初から効果なんてなかったんだ。
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