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「捕まえたー」
僕は左腕からレナへ視線を移す。
糸の伸びる先はやっぱりレナ。
くっ……。レナの力を甘く見ていた。
レナの糸はあの程度の風に流されない。むしろ、風を裂く。
完全に僕のミスだ。
これなら【ウィンドフロウ】を発動していた魔力が勿体――
「っ!?」
僕は慌てて周りを見る。
何で……!? いつの間に……!?
どうして【ウィンドフロウ】の発動が解けてるんだ!?
それだけじゃない。魔力が……込められない!
「びっくりした?」
驚く僕を見て、レナは愉快そうに笑う。
「……何をしたの?」
体を起こして訊ねても、レナは笑うだけで答えない。
代わりに僕の後ろを指差した。
ヤバッ、クロス達!
振り返る間もなく、銃声と共に右肩に激痛が走る。
「ぐっ!」
倒れそうになるのを堪えて後ろを向くと、レインとルミナがこっちに駆けてくる。
当然、その後ろには銃を構えたクロス。
いくら魔法陣の守護があっても、袋叩きにされれば気絶するのも時間の問題だ。
早くどうにかしないと!
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