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腕を伝い、黒龍へと流れる魔力。
刀の切っ先まで届いたのを確認して、腰を落とす。
さて、上手くいくかな?
「何する気だ?」
目の前のクロスが銃を構えながら訊ねてくる。
「気を付けてね」
僕はそれだけ言うと、右足を軸に一回転しながら力強く黒龍を振るう。
これで失敗したらカッコ悪いな……なんて考えながら。
でも、そんな考えは杞憂だったみたいだ。
刀に込めた魔力が黒龍の軌道に沿って離れていく。
それは半透明の真空波となって、僕の周りに広がった。
まるで空を絶つように。
名前を付けるなら……絶空。
『っ!』
4人は面白いぐらい目を見開いた。
レナは繭のように自分の周りを糸で包むが、残りの3人は防御面積が小さい。
武器で防ぎ切れなかった真空の刃が身体を傷付ける。
その隙に僕は体の向きを変えて駆け出した。
当初の目的通り、レナへと。
今のレナは僕の姿が見えていない。
だから誰の妨害もなく辿り着くことができた。
「ダメだ、レナ!」
後ろでレインが叫ぶがわずかに遅い。
防御を解いて驚くレナの腹部に黒龍の柄を叩き込んだ。
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