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「それはそうとクロス。あの時どうやって背後に回ったの?」
話題を逸らす意味も含めて、僕はその疑問を訊ねる。
予想だと【シャドウベール】を使ったと思うんだけど……。
「あぁ、【シャドウベール】って闇魔法を使った」
ビンゴだ。
得意気に自慢話をし始めたクロスを余所に、気を失う直前の状況を思い出す。
レインが壁になっていて、僕はレインと戦うことに集中していた。
そこで姿と気配を完全に消す闇魔法、【シャドウベール】。
なるほど。気付かないわけだ。
それに心の何処かでクロス達は魔法を使わないと考えていた。
そんなこと一言も言ってないのに……。
「ねぇ、クラッド君」
そう考えていた時、リディア先生が僕を呼ぶ。
「あなたの武器、見せてもらっていい?」
やけに真剣な表情で話すリディア先生を見て、何も言えずにただ頷く。
そして、
「黒龍」
真っ直ぐ伸ばした右手に黒龍を召喚した。
それを食い入るように見つめるリディア先生。
何だろ。黒龍がどうかしたのかな?
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