43147人が本棚に入れています
本棚に追加
いきなり本題に入ろうとするリオンに、フィアはクスッと笑いを零す。
しかし次の瞬間、先程までの雰囲気が嘘のように真剣な表情に変わる。
「……クラッドが見つかったわ」
「っ! 本当ですか!?」
珍しく、声を荒げながら身を乗り出すリオン。
彼の返事にフィアは頷く。
だが、クラッドが見つかったにもかかわらず、彼女の表情は晴れない。
それに気付いたリオンは目を細めてソファーに座り直した。
「何があったんです?」
暫しの沈黙の後、フィアは唇を震わせる。
「本人であることはほぼ間違いないわ。でも……記憶がないらしいの」
頭部を殴られたような衝撃に呆然とするリオン。
同時に、何故クラッドが帰ってこないのかを理解した。
記憶がなければ帰ろうにも帰れない。
「どこに……アイツは今どこにいるんですか?」
「……ベルリオーズよ。でも行ってはダメ。悲しむのはあなた達なんだから。特にエレナちゃんがね」
リオンはギリッと奥歯を噛み締める。
行けばどうなるか、彼にはわかっていた。
最初のコメントを投稿しよう!