動き出す歯車

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いきなり本題に入ろうとするリオンに、フィアはクスッと笑いを零す。 しかし次の瞬間、先程までの雰囲気が嘘のように真剣な表情に変わる。 「……クラッドが見つかったわ」 「っ! 本当ですか!?」 珍しく、声を荒げながら身を乗り出すリオン。 彼の返事にフィアは頷く。 だが、クラッドが見つかったにもかかわらず、彼女の表情は晴れない。 それに気付いたリオンは目を細めてソファーに座り直した。 「何があったんです?」 暫しの沈黙の後、フィアは唇を震わせる。 「本人であることはほぼ間違いないわ。でも……記憶がないらしいの」 頭部を殴られたような衝撃に呆然とするリオン。 同時に、何故クラッドが帰ってこないのかを理解した。 記憶がなければ帰ろうにも帰れない。 「どこに……アイツは今どこにいるんですか?」 「……ベルリオーズよ。でも行ってはダメ。悲しむのはあなた達なんだから。特にエレナちゃんがね」 リオンはギリッと奥歯を噛み締める。 行けばどうなるか、彼にはわかっていた。  
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