とある休日

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「まぁあんなだけど、クロスもクロスなりに頑張ってるんだよ。こうやって定期的にデートに誘ってるし。もっとも、ルミナはデートだとは思ってないみたいだけど……」 それこそダメじゃん!と心の中でツッコみながら、欠伸をしているクロスに視線を向ける。 クロスも大変なんだな……。 って、ちょっと待てよ? 「ねぇ、何で今日デートするって知って――」 「来たっ! ルミナだ!」 僕の言葉は見事にレインに遮られた。 仕方なく2人の視線を追って噴水に目を戻す。 「すまない。待ったか?」 白いニットセーターにデニムのミニスカート。 手には小さなハンドバッグを持ったルミナがクロスに駆け寄っていた。 意外だ。ルミナもあんな格好するんだ……。 「いや、俺様もちょっと前に来たところだ」 「ならよかった。では行こうか」 そう言って2人は並んで歩き出す。 「私達も行くよ」 レナの小声を合図に、僕らもできるだけ気配を殺して移動する。 あの2人のことだ。ちょっとでも気を抜けばすぐに見つかるだろう。 慎重に行動しないと。 ……って、何だかんだで僕もノリノリだな。  
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