とある休日

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「いらっしゃいませ。3名様でよろしいですか? ご自由な席にお座りください」 運がいい。これならバレる心配もない。 店内に視線を走らせると、クロス達は窓側とは逆の一角に座っていた。 僕達は離れた場所を選んで腰掛ける。 会話が聞こえないのは残念だけど、見つかったら元も子もないからね。 とりあえず飲み物でも頼もう。 「ご注文はお決まりですか?」 微笑を浮かべながらお冷やを持ってきてくれた店員さんに飲み物を頼む。 「コーヒーで」 「私はオレンジジュース」 「僕はメロンソーダをお願いします」 上から僕、レナ、レイン。 「かしこまりました。少々お待ちください」 店員さんが去った後、ちょっと頭を上げて2人の様子を窺ってみた。 クロスはコーヒー、ルミナは紅茶か。さすが大人組。 時折飲み物を口にしながら楽しそうに談笑してる。 いつもの得意気な笑みじゃなく、純粋に……。 僕は自分の手に視線を落とし、指にはめてある指輪を撫でた。 ――エレナ……。一体どんな人なんだろ。  
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