43147人が本棚に入れています
本棚に追加
曲がり角で待ち伏せしていた犯人はその隙に逃げようとするが、僕が咄嗟に足を掴んだため地面に倒れる。
僕はその間にルミナのバッグを取り返した。
「これは返してもらいますよ」
「てめぇ……」
立ち上がった犯人は屈強そうな大男。
邪魔をした僕に今にも殴りかかってきそうだ。
って言っても、もう殴られたけど……。
「おいガキ、今それを返せば無傷で見逃してやるよ」
「立場がわかってないみたいですね。見逃してあげるのはこっちですよ」
「んだと!」
言うや否や、男は右腕を大きく振るう。
その軌道に沿って放たれる風の刃。
【エアスラッシュ】だ。
対する僕も同種の魔法でそれを相殺。
相手と同じ属性ほど対処し易いことはない。
そう思ったのは向こうも同じようで、こっちにも聞こえるぐらいに舌打つ。
「てめぇも風かよ。そういや俺と同じ方法で追ってきたんだったな」
だからどうした。
僕は次の魔法を放つために思考を動かす。
手の内が読める以上、いかに隙をつくるかが重要だ。
別にバッグは取り返したから逃げてもいいんだけど、プライドと言うか癖と言うか……。
とにかくああいった輩は見逃せない。
最初のコメントを投稿しよう!