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「これは……!」
目の前で起こる現象に思わず息を呑む。
この炎……火属性の魔法だ。
あの人は火も使えたのか……!
そう思った途端、激しく渦巻いていた炎の竜巻がフッと消える。
それと同時に露わになる男の姿。
勝ち誇った笑みを浮かべて、悠々と地面に降り立つ。
「なかなか筋のいいガキじゃねぇか。だがこの俺を相手にしたこと、後悔するぜ」
迂闊だった。まさか属性を複数使えたなんて……。
「何でそんな人が引ったくりなんて……」
「うるせぇな! 偶々目に付いたからだよ! 普段はもっとマシな仕事をしてらぁ!」
仕事って言ってもどうせ犯罪なんだろうな……なんて考えながら心を落ち着ける。
とにかく、属性を複数使えたとしても当たらないように気を付ければ大丈夫だ。
問題なのは攻撃。同じ手は通用しないだろうし、相手も警戒しないようなバカじゃない。
いっそのこと上級魔法でも使おうか。
うん、それがいいかもしれない。
なんてことを考えているうちに男が迫ってきた。
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