目覚めと出会い

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どう?と首を傾げるレイン。 僕はお礼を言うと、再び考えを巡らせる。 何にしろ、そのケガが原因で記憶がなくなったのは間違いないと思う。 人か魔物かは定かじゃないけど、相当な相手だったんだな。 それか、僕が弱かっただけか……。 「レイン。この辺りって強い魔物はいるの?」 「少し遠くに行けばいるけど、この辺りにはいないな。洞窟の奥深くに恐ろしい魔物がいるって噂は聞いたことあるけどね」 となるとホントに人と戦っていたんだろうか。 そして、黒いコート。 大事なことのような気がするけど思い出せない。 「ちなみに、僕が着てた服は……?」 「ゴメン。ボロボロでとても着れるものじゃなかったから捨てちゃった」 「何か持ってなかった?」 「ポケットとかも探してみたけど何もなかったよ」 もしかしたら自分のことがわかる何かがあると思ったが、その可能性も消えた。 やっぱり行くしかないか。ベルリオーズに。 「ねぇレイン。僕は明日ベルリオーズに行こうと思ってるんだけど……」 「ホント!? 丁度僕もそう言おうと思ってたんだよ」 「え? それはどういう――」 こと?と訊ねようとした時だった。 「レイーン、クラッドー。ちょっと手伝ってー!」 下の階からのレナの呼び出し。 「……この話は後にしようか」 「そうだね」 僕達は素直に部屋を後にした。  
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