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とりあえず黒龍を右手に召喚。
ここはコロシアムじゃないからケガは治らない。
ちょっと間違えるだけで命を奪える。
あくまで黒龍は脅し。魔法でトドメを刺す。
「いい武器じゃねぇか、よっ!」
男は喋りながら拳を放ってくる。
それを一歩下がりながらしゃがんで躱し、敢えて避けやすいように黒龍を突き出す。
狙い通り身体を捻って躱された瞬間、手首を返し、峰の方を男に向けて振り払った。
しかし、男は片足を上げ、靴の裏で受け止める。
その行動に驚いている間に黒龍を蹴り返され、左手に何かを握って突き出してきた。
その手に握られていたのは銀色に輝く鎖の端。
反対には分銅が付いていて、それがあっという間に黒龍の刀身に巻き付いた。
「くっ!」
強い力で引っ張られる。
奪われまいと踏ん張った途端、急に力が緩み、体勢を崩して後ろに倒れる。
そこに男が飛びかかってきた。
「【フレイムナックル】」
男の右手にオレンジ色の炎が灯り、握った拳が真っ赤になる。
迫る炎。頭の中は真っ白。
けれど、身体は違った。
左手に持っていたルミナのバッグを投げ捨て、手をお互いの間に滑り込ませながらパチンッと指を鳴らす。
「【バブルボム】」
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