とある休日

20/21
前へ
/395ページ
次へ
「そうだ。はい、ルミナ」 持っていたバッグを彼女に渡す。 「戦ってる最中に落としちゃったんだけど……大丈夫かな?」 バッグの中を覗き込んだルミナは笑顔で顔を上げた。 よかった。中は無事だったみたいだ。 「本当にありがとう。クラッド」 その言葉を聞くだけで取り戻した甲斐があった。 嬉しさでいい気分になっていた、その時。 「んで、何でお前らがあそこにいた?」 このまま誤魔化そうとしていたことをクロスに突付かれた。 固まる僕ら。睨むクロス。 ……どうしよう。 「まさか俺様達を尾行してたなんてことはねぇよな?」 クロスはガシッと僕の肩を掴んでくる。 そこで、レナがやらかした。 「ぐ、ぐぐぐ偶然だよー」 噛む、棒読み、視線を逸らす。 誰がどう見ても挙動不審な姿がそこにあった。 レナのバカ~! 「へぇ~」 クロスに掴まれてる肩がミシミシと悲鳴を上げる。 ヤバい。かなりご立腹だ……。 「に、逃げろー!」 いち早く逃げ出すレナ。 続いてレイン。 「ちょっ、助けてよ!」 「待ちやがれー!」 ルミナがクスクスと笑う中、僕らは夕暮れの商店街を駆け抜けた。  
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43147人が本棚に入れています
本棚に追加