目覚めと出会い

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「ごちそうさま」 「ごちそうさま」 「お粗末様でした」 夕食を食べ終えた僕達は、背もたれに身体を預けて一息つく。 するとレインがたった今思い出したというように声を漏らした。 「そういえば、話の途中だったね」 ――話? あぁ、明日ベルリオーズに行くことか……。 「そうだったね。でも、どうして?」 僕が訊ねると、レインとレナは顔を見合わせてクスクスと笑う。 まるで、悪戯を企んでいる子供のように……。 「ってまさか、何かよからぬことでも企んでるんじゃ……」 2人はその問いに答えず、レナが席を立って玄関の方へと姿を消す。 それを目で追っていた僕の気を逸らすかのように、レインは口を開いた。 「クラッドって明日暇だよね? 次の日も暇だよね? ずーっと暇だよね?」 ここまで暇、暇、と連呼されると腹が立ってくる。 僕だって好きで暇人になったわけじゃない。 それに、明日はベルリオーズに行くって言ったはずだ。 ――そして、ここを出て行くのも明日だ……。  
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