交流試合開始

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男子生徒の姿が見えなくなり、ルミナは安堵の息を漏らす。 「ふぅ。少し魔法を使いすぎたか」 誰に語るでもなく呟いた彼女は、再び周囲を警戒する。 先程の【ジャッジメント】で自分の居場所がバレたと考えたからだ。 それでも移動するようなルミナではない。 自分の役目は陽動。敵を引き付けることだからだ。 負ける時はできるだけ多くの敵を道連れに、とルミナは考えていた。 ――来るなら来い! そう意気込んだ時だった。 男子の逃げた方向から白い霧が近付いてくる。 すぐに気付いて警戒するルミナ。 ゆっくりと近付いてくるその霧に触れた樹木は、あっという間に凍りつく。 霧の正体……それは冷気。 身の危険を感じたルミナはすぐさま木の上に跳び上がる。 その下を冷気が通り過ぎ、彼女が今までいた場所はキラキラと輝くほどに固まってしまった。 そして冷気の後を追うように現れた人物。 「また1人見つけた」 セリス・クライシスの視線が木の上のルミナに突き刺さった。  
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