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「よっしゃ!」
セントレスの生徒から少し距離を置いた木の上で、ローレンツの生徒はスコープから目を離した。
その手にあるのはもちろん狙撃銃。
狙撃部隊の1人である。
彼は試合開始から木の上を転々とし、目に付いた相手生徒を片っ端から狙撃していた。
その全てが成功したため、徐々に調子に乗っていることには気付いていない。
「ん?」
そんな彼が次なる獲物を発見した。
緑に包まれた森の中で一際目立つ金髪を揺らし、周囲をまったく警戒することなく歩く女子生徒。
スコープ越しに彼女を見た男子生徒は小さく感嘆の声を漏らす。
「うおっ、すっげぇ美人。でも悪く思わないでくれよ~」
銃の引き金に指を掛け、今にも引こうとした時、丁度彼女と樹木が重なって見えなくなった。
彼は舌打ちしながら顔を離し、再びスコープを覗き込む。
次に姿を見せた時にバンッ、だ。
そんな男子の思惑とは裏腹に、彼女は一向に姿を見せない。
「どうなってやがる……」
そう呟いた瞬間、スコープ越しの視界が金色に染まった。
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