目覚めと出会い

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「ちょ、ちょっと待ってよ! 通ってもらうって言ったって、僕にはお金がないし、自分のこともわからないんだよ?」 僕が焦るのも当然だろう。 個人情報が全くわからない怪しい人物を入学させてくれるわけがないんだから。 おまけに、学費を払うお金もない。 しかしレインは、そんなことかと言うように笑みを浮かべる。 「大丈夫。うちの学園長は心が広いからね。 キミが記憶喪失だってことは知ってるし、お金は払える時に払ってくれればいいってさ。 お金は僕達が払うから心配しないで。 だいたい、この制服を用意してくれたのは学園長なんだよ?」 ――それでいいのか学園長! と心の中でツッコむ僕。 もはや心が広いで済む問題じゃないが、確かにその話は魅力的だった。 レインが言っていたように、この歳の子供はみんな学園に通う。 なら、記憶を失う前の僕も学園に通っていたはずだ(たぶん)。 だったら……。 「わかった。行くよ、ローレンツ学園に。 でもお金は自分で払う」 ギルドで依頼をこなせばなんとかなるだろう。 「そっか。足りなくなったらいつでも言ってね」 とりあえず頷く。 これで僕の記憶は――  
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