交流試合開始

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彼が慌てて顔を離すと、目の前には先程の女子生徒が。 背中から純白の翼を生やし、手に持った弓に光の矢を番えていた。 驚く時間もなく矢は放たれる。 それは男子の左胸に突き刺さり、身体が傾いた彼は苦痛に顔を歪めながら木から落ちる。 それでも一撃は与えようと銃を構えると同時に、彼女……エレナ・アークライトは弓で十字を切って呟いた。 「【サザンクロス】」 上級魔法の詠唱破棄。 驚愕する男子の身体を十字の衝撃波が貫く。 さらに地面に落下した衝撃も相俟って、彼は意識を手放した。 消えていく男子を上空から見下ろすエレナ。 その姿が完全に見えなくなると、彼女は握っていた弓を消す。 「はぁ……。リオンの予想通りなら私の役目はもう終わりね」 消えた男子と同じく、エレナもまた試合開始からやっていたことがある。 それは狙撃手の討伐。 今のでようやく5人目だ。 「やることをやれば後は好きにしていいって言われても……」 自分の役目を終えたエレナはこれからどうするか悩むが、ふと、ある考えが頭に浮かぶ。 「そうだ!このまま相手のリーダーを狙っちゃおう」 そうと決まれば行動は早い。 エレナは背中の翼を羽ばたかせ、森の奥へと飛び立った。  
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