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いや、これこそが敵の作戦だったのかもしれない。
僕が思ったように、敵陣地に忍び込めば逆に安全だと考えたんじゃないだろうか。
リーダーは勝敗を左右する重要なポジションだ。
だから一番奥で守りを堅めていると誰もが思い込む。
事実、僕らは敵のリーダーが一番奥にいると勝手に想像していた。
だが実際はどうだろう。
敵リーダーは護衛を2人だけ付けて先行していた。
まさか目標が前線に出てくるなんて誰も思うまい。
とにかくこのことを報告しないと。
そう思って3人に背を向けた時だった。
「ジーク、エミリア。お前達は先に行け。すぐに追い付く」
そんな声と共に、凍るような感覚が背筋を駆け抜ける。
同時に、何か懐かしい感じもした。
――ジーク? エミリア?
思わず足を止めて振り返る。
すると、見えていないにもかかわらず、紅い目の少年と視線がぶつかった。
――バレてる!?
「わかった。また後で」
「リオン、できるだけ早くね~」
一方、ジークと呼ばれたリーダーと、エミリアと呼ばれた女の子は、僕に気付いた様子はない。
結局2人は僕に気付くことなくその場を離れていき、残ったのは僕とリオンと呼ばれた男子だけになった。
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