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時は試合が始まる少し前に遡る。
作戦の確認を済ませ、上機嫌に準備運動をしていたシンにリオンが近付く。
「シン」
「ん? どうした?」
「お前はこの試合中に魔法は使うな」
この言葉にはシンも周りにいたクラスメートも驚いた。
「何でだよ!?」
リオンのことだから何か考えがあってのこと。
それはわかっているのだが、シンは訊ねずにはいられなかった。
もちろん、これにはちゃんとした理由がある。
「お前の使う魔法は豪快なものが多い。こんな所で使えば森が燃えるだろう」
「うっ……」
事実なだけに否定できない。
凍るならまだしも、燃えるのはさすがにマズい。
「ならティナも禁止だよな?」
「アイツなら大丈夫だ」
即答だった。
「ティナは魔力のコントロールが上手いし、お前のように豪快な魔法は使わない。もちろんお前もそうするのなら使っていいが……」
「そういうことよ。まっ、アンタは魔法なしで頑張りなさい」
シンの後ろから近付いてきたティナは、そう言って彼の肩を軽く叩く。
そのバカにした表情を見て、シンは思わずこう言ってしまった。
「やってやるよ! それぐらい余裕だぜ!」
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