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――はぁ……。あんなこと言わなきゃよかった……。
数十分前の自分の発言を後悔するシン。
別に使っても構わないのだが、それだとティナに負けたような気持ちになる。
今の彼の頭の中には、あの時のティナのバカにした表情が映し出されていた。
――いや、絶対に使わねぇ!
グッと拳を握り締めたところで、耳に届いた銃声で我に返る。
咄嗟に横に跳び退くと、ようやく今が戦闘中だということを思い出した。
「俺様を前に他事を考えるたぁ随分余裕だな? あぁ?」
クロスは一目でわかるぐらい不機嫌だ。
その怒りをぶつけるように、彼は黒銃の引き金を連続で引く。
シンは素早く倒れていた生徒の1人を持ち上げて後ろに隠れた。
つまり身代わりだ。
可哀想な生徒はクロスの放った銃弾を全て受け、地面に倒れると共に消えていった。
――まず1人。
魔法を使えないシンはこうやって相手を消していくしかない。
消えるまで殴り続けるという方法もあるが、それはさすがに罪悪感というものがある。
さっきのも十分酷いのだが、今のシンはこの程度なら大丈夫という認識になってしまっていた。
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