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一方、地面を転がるクロスは、すぐに体勢を立て直してシンを視界に捉えた。
けれど、シンが迫ってきているにもかかわらず、彼は銃を構えようとはしない。
先程までとは一変した様子にシンも違和感を覚える。
――何をする気だ?
試しに正面から拳を振るうが、それは今までと同じく銃で受け止められる。
すぐさま左足を上げて蹴りを放つと、今度は防がれなかった。
がら空きだった横っ腹にきれいに命中。
クロスの整った顔が苦痛に歪む。
避けなかったというよりは、銃を押さえられていて防げなかったといった様子だ。
それでもクロスは反撃してこない。
シンの口元がニヤリと吊り上がった。
「何を企んでるのか知らねぇけど、そんなにお望みならいくらでも相手してやるぜ」
言うや、シンの攻撃するスピードが増す。
怒濤の連続攻撃にさすがのクロスも防御が追い付かない。
銃身で防ぐ時もあれば、身体に一撃が入ることも。
やがてクロスの身体がふらつき始め、シンが勝利を確信した時だった。
今までにない強烈な衝撃が彼の側頭部を駆け抜けた。
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