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突然のことに何が起きたかわからず、地面に倒れるシン。
ゆっくり身体を起こすも、眩暈と吐き気が彼を襲う。
そんな状態でシンが見たのは、銃を振り抜いた構えを解くクロスの姿だった。
「よくも好き放題殴ってくれたな……。かなり効いたぜ」
両手で握る黒銃を地面に向け、一歩一歩足を踏み出すクロス。
先程までの打撃が痛むのか、かなり前屈みな状態だ。
銃を持つのもやっとの様子。
そんなクロスとは違い、シンの状態は良くなりつつあった。
まだ吐き気はあるものの、視界は鮮明なものに戻る。
クロスが近付いてくるが焦りはしない。
このままじっとしていればすぐに復活できるからだ。
しかし、シンの予想に反して、クロスの迫るスピードは意外と速い。
間に合わないと感じたシンはカウンターを叩き込むことに決めた。
クロスはもうフラフラだ。次の一撃で決着が付く。
そんな安易な考えと同時に、クロスがゆったりとした動作で銃を持ち上げ、振るう。
シンは右腕の籠手でそれを受け止め、反撃に出ようとした。
だが、
「っ!」
咄嗟に差し出した腕を引き、銃を振る軌道に合わせて横に跳ぶ。
クロスから距離をとったシンは思わず右腕に手を添えた。
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