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景色を覆っていた煙が吹き飛び、視界が鮮明になる。
抉られた地面、倒れた樹木。そして、その中心に立つ彼。
シンは全身からオーラのように炎を噴き出し、目を見開いて驚いているクロスを睨み付けた。
「魔法は使わないって決めてたんだけどな……。あれは使うしかねぇや」
自虐的に笑みを零すシン。
それに伴い、全身から噴き出している炎が右腕……正確には手の平の一ヵ所に集まっていく。
「後でティナに何言われるんだか。せめて勝たないと一生バカにされそうだし……」
集まった炎が矢の形に変わると、シンはそれをクロスに向ける。
「使ってやるよ、地味な魔法!」
言うや、彼の手から炎の矢が放たれた。
地味とはいえ、ティナと違って矢は大きく、速い。
彼女がテクニカルタイプなら、シンはパワータイプだ。
「ここで魔法かよっ! 【ブラックプロテクション】」
クロスは目の前にシールドを展開してそれを防ぐ。
今のインフェルノでは軽過ぎて押し切られかねないからだ。
するとシンは上空へ高く跳び上がり、自分の周囲に数個の炎弾を出現させた。
「アイツにカッコ悪いとこは見せたくないんでね!」
「俺様だって負けるわけにはいかねぇんだよ!」
互いに吼え、互いに攻撃を放つ。
シンは出現させた炎弾を飛ばし、対するクロスも黒い球体を右手に出して投げつけた。
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