交流試合開始

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――今の僕じゃ満足に動けない……。 チラッと、持ち上がっていない刃を確認する。 ――こんな状態じゃ上級魔法1発が限界かな?問題はどうやって時間を稼ぐか……。 動けないなら、動かずに一撃で仕留めてしまえばいい。つまり上級魔法を放とうという単純な考えに行き着いたレインだが、それにはいくつか問題があった。 1つは時間稼ぎ。クラッドと違い、レインは上級魔法の詠唱破棄ができない。 一般的にはそれが普通なのだが、今の状況ではそれが口惜しい。 詠唱など唱え始めれば、間違いなくティナが妨害にくるだろう。 そうなると今のレインに勝ち目はない。 次に命中率。正直な話、レインの使える上級魔法は1つだけ。 【イレクトルバレッジ】。魔法陣を展開し、その範囲内に特大の雷を落とす雷属性の上級魔法。 魔法陣の大きさは自由に変えられるのだが、大きければ大きいほど落雷の威力が下がる。 範囲を広げれば仕留め切れず、威力を上げれば当たらない。 一長一短な魔法の上に相手は人間。動きも素早い。 外せばレインの負けが確定する。 ――どうにかして隙をつくれれば……。  
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