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しかし、そんな考えもティナの次の一言で杞憂となる。
「上級魔法を使いたいんでしょ?いいわよ。動かないから使いなさい」
――バレてる!?
ティナの言葉に警戒するレイン。
罠なんじゃないかという考えが頭に浮かぶが、もし本当ならばこれ以上ないチャンス。
「元々外れる可能性の高い魔法なんだ。お言葉に甘えさせてもらうよ!」
悩んだ末、レインが選択したのは誘いに乗る方。
大鎌から左手を離し、ティナの方へ手を翳す。
「暗雲に潜む光よ、我が意に従い、彼の者に雷鳴を轟かせ……」
ゆっくりと高まっていくレインの魔力に、ティナは不敵な笑みを浮かべた。
彼女が言った言葉は嘘ではない。正々堂々、正面から受けて立とうと考えている。
ただし、魔法を使う気はない。
フラムルージュに魔力を込めるティナ。それに反応して、刃が青い炎へと変化する。
――私がアイツみたいな力技を使うなんてね……。
ティナの目的はフラムルージュで上級魔法を斬り裂くこと。力の差をわからせ、彼の心を折って戦意を完全に喪失させるつもりだ。
そうすれば彼女の前に敵はない。
ティナの首筋を汗が伝う。炎剣を握る手も汗で滑りそうな感覚。
同時に、レインの魔法が完成した。
「閃光よ降り注げ……【イレクトルバレッジ】」
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