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「悪く思わないで」
その一言と共に、ティナは右足を踏み出して大剣を振り下ろす。
途端に刃の長さが伸び、届かなかった距離を一瞬で埋める。
レインは膝をついたまま動かない。
そして彼に刃が触れる刹那、ティナはフラムルージュが硬い物に当たる手応えを感じた。
続いて、レインの横から炎剣を受け止めている人物が目に入る。
ティナは驚き、どうしてと言った表情でその人物の名を口にした。
「フィアさん……!?」
「やり過ぎよ、ティナちゃん」
ティナの一撃を長剣……それも片手で止めたフィアは、表情を変えることなく冷静に答える。
仕事モードに入ったフィアだ。
ティナは突然の彼女の登場に戸惑い、レインに至っては全く理解できていない。
そうしている間に、ティナにとっては信じられないことが起こった。
フラムルージュがフィアの長剣……氷雪に触れている部分から凍り始めたのだ。
炎を覆うように固まるそれを見て、ティナは慌てて炎剣を離し、元の大きさに戻す。
氷雪が離れても氷は溶けないまま。
彼女が魔力を流して更に熱する一方で、フィアはレインの肩に優しく手を置いて微笑みかける。
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