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「ギルドの者よ。大丈夫?」
そう訊ねるフィアだが、レインはボ~ッとしたまま返事をしない。目の前の美女に見とれているのだ。
フィアを初めて見た者は大抵こうなる。それはレインも例外ではない。
「……あっ、はい」
ようやく我に返って返事をした時には、フィアの手は服越しにレインの胸元にある魔法陣の描かれたプレートに当てられていた。
「説明している時間はないの。あなたの負けよ。何故かはわかるわね?」
「……はい」
レインは悔しそうに、けれど力強く頷く。
フィアが止めていなければ負けていた。レイン自身がよくわかっていることだ。
「正直でよろしい」
彼女は再び微笑むと、魔法陣を強制的に発動させる。
次の瞬間には、そこにレインの姿はなかった。
さて、とでも言いたげに振り向くフィア。
そこには氷を溶かし、今までの様子を見ていたティナがいる。
「そういうわけで、あなたの勝ちよ。それじゃ、頑張ってね」
それだけ言うと、フィアは転移でその場を後にした。
「……何なのよ」
彼女が消え、ティナが小さく呟く。
フラムルージュを凍らされた彼女にとって、この決着は素直に喜べなかった。
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